私には、今スクールソーシャルワーカーとして、活動をしている友達がいます。
 その方は、相談に来た子ども達の話を聞いたり、親御さんと話をしたり、時には、親御さんの了解のもとで何日もその子ども達の世話をされています。もちろんボランティアです。
そして家族全員が応援されているそうです。
福山市にある自由館というとことでスクールソーシャルワークに関わる勉強をされています。
 月に一度、ミニトマトで合って話をするのですが、その方は「まわりの人達は、私のことをあまり良い印象を持って見てくれていないのでつらい時もあるけれど、家に来ている子ども達が、"おばちゃんと話している時がとても気持ちが落ち着く"と言ってくれるからそれが一番嬉しいのよ」と話されていました。
 親は、子どものためにと思い、精一杯努力をしている。でも子どもにはそんな親の思いが通じない。
先の見えない暗闇の中にいて、親も子もどうしたらいいかわからない。最後には、「もうどうなってもいい。」
とやけになって、親は子を見捨てる。子は親から離れようとする。親も子も、ともに愛し合っているのに、それが通じない。とても、悲しい事だと思います。こんな時、相談にのってくれる人が1人でもいたら全然違う結果になると思います。私の友達は、そう言う仕事をしているのです。

スクールソーシャルワークとは
 アメリカでおよそ100年前に生まれました。
訪問教師と呼ばれる人達が、社会的に不利な立場に置かれている子ども達の教育環境向上のために行った活動が始まりです。
 スクールソーシャルワークは常に、子ども達一人ひとりの人格を尊重し、子ども達がそれぞれの可能性を充分発揮できるように、それぞれの子ども達のニーズに応じたサポートをすることで、子ども達の生活の質を高める事にこころがけています。
 そのために、家庭と学校と地域社会との間で、連帯活動を行いながら、子ども達を取り巻く環境に働きかける。
その一端として、子ども達がよりよい学校生活を送れるように、学校環境の質を高めるための活動も行っています。それは、極めて過重な仕事量を課せられている学校教員をサポートする事にもつながるのです。
 発祥地のアメリカでは、現在1万人以上のスクールソーシャルワーカーが学校制度の中で活躍しています。
ヨーロッパ、アフリカ諸国、香港、そして、日本でも、今年3月にスクールソーシャルワークの重要性を支持するもの達の働きかけで、日本スクールソーシャルワーク協会が発足しました。
しかし、残念ながら、日本おいて、知名度は非常に低いという現状です。
 昨年4月、アメリカ・シカゴで第1回国際スクールソーシャルワーク会議が催されました。
そしてこの会議に、世界51カ国から900人のスクールソーシャルワーカーが参加しました。
これを見る限りでも、世界各国のスクールソーシャルワークに対する関心度の高さがうかがえます。
世界の多くの国で、その必要性が認められ実践されているのです。
 今こそ、日本でもこのスクールソーシャルワークの可能性について真剣に検討するときなのではないでしょうか。

毎日新聞 1998年9月1日 『声』より
親は先走らず子どもを支えて  所沢市 安達 雅也(大学生 19歳)
 8月22日の声欄に「青春に遠い子 親のてだては」と悩んでいる母親の投書が載っていました。
私も中学の2年間、不登校で過ごしました。投書と同様、昼夜が逆転した生活を送っていましたが、スクールソーシャルワーカー(訪問教育相談員)の山下英三郎先生に会ってから、除々に変わりました。
なぜなら、先生は「人間にはさまざまな選択肢があり、学校へ行く事が絶対ではない。
違った視点から見てごらん。自分を見つけ直し、自分探しの出来る良い時間をもらったと考えれば良い」と、私に助言してくださったからです。学校に行かない事は悪い事と考えていた私にとって、思いがけない一言でした。
 私は、休んでいる間、さまざまな事を考え、自分探しを行う事が出来ました。
現在、私はカウンセラーになるため、大学へ通学しています。
 投書では「具体的な手だては見つかりません」とおっしゃっていましたが、視点を変えてみてください。
子どもは、親が考えている以上に、さまざまな事を考えているはずです。
 故に、親は先走らず、子どもを背後から支えてゆくという考えに立ってみてはいかがでしょうか。
きっと子どもは立ち直ってくれるはずです。子どもの一番の味方は親なのですから。