浦崎小学校 PTA講演会  講師:菅原晃子先生

 子育て楽しいですか?
親の仕事を振り返った時、子どもが小学生の時が一番親らしく子どもと一緒に過ごすチャンスが多いんです。今、しっかり子どもと一緒になっていろんな体験を出来るだけ沢山して頂きたいと思います。
そして、子どもさんと一緒の共通体験を通して、皆さんの願いを子どもに伝えて下さい。叱ったり、誉めたりする形でなく、親が子どもにどうやって愛を伝えたらいいのかが、今日のテーマです。
子どもが、「お父さん、お母さんは、私を愛しているんだな」「私を大事に思ってくれているんだな」「私はかわいがられているな」「私は、お父さん、お母さんにとって、大事な存在なんだな」と思えるような心に届くような伝え方を今日から実践していただければ嬉しく思います。

 子育ての目的は親離れをさせることです。幼いときには保護をし、段々成長してくると社会性を身に付けさせることで、思春期をうまく乗り切ることが出来ます。小学生の時代に社会性が身につけばいいなと思います。

 すぐ切れる子っていますよね。それは特別な子どもではないのです。
人間性を無視され続けるとだれでも切れてしまいます。これは子どもでも、大人でも一緒です。
誰も自分を分かってくれる人がいない。そして他人にコントロールされ続けると、必ず切れます。
でも誰でも、どこかで上手に発散し自分をコントロールし、他人の気持ちを汲みながら上手に生きているのが普通なんですが、今の子ども達は、それを学ぶ機会が非常に少ない環境にあるのです。

 昔は、自然の中で遊んでいる時、また、豊かな家族関係の体験を通して、他人との付き合い方が自然に身についていたのです。でも今はそうは行きません。
でも子育ては気が付いたときからそれを改めれば、やりなおしがいくらでも効くのです。

 人間関係は自分との付き合いです。
その時の自分の本音に気付くことが必要なのです。
子どもにその時の気持ちを気付かせる手伝いをするのがおやの役目なのです。

 人間は誰でも、自分の事は自分で気付いて考えて、人間として今何をすればいいかが、分かる
それを選んで実行する力を皆持っている。それを信じて我が子を見て下さい。
そして子どもに任せるのです。

 我が子が4歳の時、お布団に入って、「お母さん、僕、くつろぐ時がない」と言ったのです。その言葉が私にとって衝撃的だったので、今でも覚えています。
その時、「あれしなさい」「これしなさい」と子どもの行動を廻りの大人がすべて支持、命令、コントロールしていたのです。子どもは、自分で自分の事を考えたり、ボーッとしたり、のんびりしたりする時間がなかったのでしょう。いつも、こんな生活ではないと思うのですが、たまたま今日がそういう日だったのでしょうね。
 いつも、誰かによって自分がコントロールされていると、子どもは、くつろげないと感じるのです。
自分がとりもどせない、自分で決めるチャンスがないということは、つらいことなんだろうな。と気付かせてくれました。

 我が子がある日、楽しそうに一人で二役しながら遊んでいました。この子はこうやって、くつろぐというすべを知っているんです。
人間は友達と楽しく遊ぶくつろぎ方と、一人でも、楽しく遊べるくつろぎ方、両方を知っていると精神のバランスがとれ楽しく生活することが出来る。

 親が大事だと思うこと、子どもの幸せに役に立つと思うことは心をこめて、子どもの心に届くように、伝えてください。
その時、訳も言わず、また理由も言わずに「こうしろ」「それはだめだ」と叱ったり、「よくやったね」と言って誉めたりしていては、子どもの心に届かないし、子どもが自立しない。なぜ、お母さんはそんな風にすると良いと思うのか、どんな風に役に立つのか、子どもにわかるように、丁寧に伝えることが大切です。

 例えば、「今、基本的な勉強をして、どんな本でも読めるようになっておくと、あなたが大きくなって何か別のことに興味を持った時、自分で本を読んで理解することが出来のよ。そして、自分のやりたい事がどんどん前に進めるけれど、字が分からなくて、読みたい本が読めなかったら、自分の力が伸びないので、小学校で習う基本的な事は今のうちにしっかり、身につけておくと、あなたが将来、幸せに暮らせるようになるのよ」というように、子どもに分かりやすく言ってやると、子どもは、「お父さん、お母さんは自分の幸せを願って言ってくれているんだ」と子どもの心に通じるのです。。

 伝えた時に子どもがその通りにしなくても叱らないことが大事なのです。
子どもが自分で選択して決めて実行すれば、たとえ失敗しても、子どもの成長につながる、その失敗を乗り越えていこうと努力する。また、成功すれば心からの自信になる。とろこが、親が決めた通りにして失敗すれば、親のせいにして逃げてしまう。そして成功しても、あまり嬉しくないし、本当の自信にならない。だから、最終決定は子どもに任せることが大事なのです。
 今子どもが親の忠告に耳を傾けなくても、「今は、したくないんだね」「今は、しないことにしているんだね」と皮肉っぱくなく素直に言葉に出し、見守ってください。そこが、難しくて一番大事なところです。
そうやって、子どもは自立していくのです。